和歌山地方裁判所 昭和60年(わ)456号 判決 1986年1月21日
被告人
氏名
法岡正純
年令
昭和五年一〇月一日生
職業
染織整理業並びに晒加工業
本籍
和歌山市下和佐四四一番地
住居
同市下和佐二五三番地
事件名
所得税法違反
公判出席検事官
高田明夫
主文
被告人を懲役一年六月及び罰金二〇、〇〇〇、〇〇〇円に処する。
この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
右罰金を完納することができないときは、金一〇〇、〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、和歌山市下和佐二五八番地において「和歌山ダイシング工業」の名称で染織整理業を、同市中之島二六六番地の一において「法岡商店」の名称で晒加工業を営んでいるものであるが、所得税を免れようと企て
第一 昭和五六年分の実際所得金額は五、六二二万九五二円で、これに対する所得税額は二、七九九万五、三〇〇円であるのにかかわらず、売上金の一部を除外し、架空の給料賃金を計上するなどの行為により所得を秘匿した上、同五七年三月一〇日、同市湊通丁北一丁目一和歌山税務署において、同税務署長に対し、総所得金額は七八一万九、三九八円で、これに対する所得税額は一三六万四、四〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって、不正の行為により所得税二、六六三万九〇〇円を免れ
第二 昭和五七年分の総所得金額は六、二三〇万二、一八六円でこれに対する所得税額は三、一九一万五〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により所得を秘匿した上、昭和五八年三月一五日、前記和歌山税務署において、同税務署長に対し、総所得金額は一、五三三万三、八三〇円で、これに対する所得税額は四四八万三〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって不正の行為により所得税二、七四三万二〇〇円を免れ
第三 昭和五八年分の総所得金額は一億二、四二三万三、五四四円で、これに対する所得税額は七、六七五万七、五〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により所得を秘匿した上、同五九年三月一四日、前記和歌山税務署において、同税務署長に対し、総所得金額は四、二二一万九、一七六円で、これに対する所得税額は一、九五七万二、五〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって、不正の行為により所得税五、七一八万五、〇〇〇円を免れたものである。
(証拠の標目)
判示全事実につき
一 被告人の当公判廷における供述
一 第一回公判調書中の証拠等関係カード標目欄番号(以下証番号と略称する)乙14乃至17と同一であるからこれらを引用する。
一 証番号甲7乃至20と同一であるからこれらを引用する。
一 証番号甲26・29・30・32・35・36・40・41・45乃至48と同一であるからこれらを引用する。
判示第一、第二の事実につき
一 証番号甲38と同一であるからこれらを引用する。
判示第一の事実につき
一 証番号甲1・4・28と同一であるからこれらを引用する。
判示第二の事実につき
一 証番号甲2・5と同一であるからこれらを引用する。
判示第三の事実につき
一 証番号甲3・6・31・39と同一であるからこれらを引用する。
(法令の適用)
判示第一、第二及び第三の各行為につき、いずれも所得税法二三八条一項、二項(懲役及び罰金の併科刑選択)
併合罪の加重につき刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(懲役刑につき)、四八条二項(罰金刑につき)
(懲役刑につき犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重)
執行猶予につき(懲役刑につき)
同法二五条一項
換刑処分につき(罰金刑につき)
同法一八条一項
よって主文のとおり判決する。
(裁判官 藤川眞之)